セルフケアと「男性」性

フェミニズム・男性学周辺に関心。立ち位置は、親でも反でもなく「中立」。

「家父長制」論の落し穴。(「女性目線の現代ダメ夫」論

子育て世代の同僚女性(30代)の夫愚痴を聞いていたら、些細な点だが、「家父長制」論の落し穴に気づいた。

彼女は夫姑と同居で、夫は子どもの相手はできるが、他の家事はからきしということだった。面白いのが、箸の上げ下げではないが、「食後に食器を下げる」という習慣がなかった(知らなかった)ので、まず子供以前に、夫の躾をしなくてはならなかった、という話だった。夫が末っ子でともかく甘やかされており超マザコンで、母(姑)が子供時代から身の回りの世話を全て焼いていた、という背景だった訳だ。

「現代のダメ夫」に分類されるだろうけれども、その背景説明は、「家父長制」とかその遺制や歪みだけでは足りない。今後、30代以下の男性に関しては、間違いなく「少子化」社会のもとで生まれ育ってきている。若い男性に関しては、「一人っ子」かせいぜい2人程度(たとえば2人兄弟の組み合わせが男・女の組み合わせの場合等)ならば、「母ー息子」の密着関係というのが、「起きうるリスク」として非常に高くなるのではないか、という推定は可能ではないだろうか。

「母―息子」の密着関係では、当然息子はマザコンになるし、上記のように母が何くれとなく世話をするせいで、家事をするというより、そもそも「自分で自分のことをやる」という意識が育たない。

「母」の側には、確かに「家父長制」の遺制(家事を「主婦」たる自分がやる、のような社会意識・習慣)はあるが、それとは別に「少子化」による偏愛・スポイルという問題がある。これらは、重なり合う部分もあるだろうけれど、独立に考えなくてはならない部分でもある。

「婚後の若い男性が家事をしない・できない」問題を、安易に「家父長制」的家族構造に求めるべきではない。

これは、その相手男性個人のみに還元すべき要因でなく、今の若い独身女性が、結婚相手を探す際の「社会的リスク」として考慮すべき問題であると思う。